普通方式の遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあることは、前にご説明したとおりですが、本日は、自筆証書遺言について説明したいと思います。
自筆証書遺言というのは、文字通り、「自分で書く」だけで成立する遺言ですから、方式としては簡単な部類に入ると思います。特別な費用もかかりません。
しかし、自筆証書遺言を作成する場合には、通常、家族にも内緒にしている場合も多いでしょうから、死後、遺言が発見してもらえない危険があり、また、その作成に第三者が関与していないため、遺言が偽造・変造されてしまう危険もあります。
自筆証書遺言が有効となるためには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないとされています(民法968条1項)。
また、自筆証書遺言の中において、加除その他の変更を加えるときは、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力は生じません(同条2項)。
このように、自筆証書遺言が有効となるためには、上記の要件を満たしている必要があり、しかも、その要件の該当性は、判例の積み重ねにより、相当に厳しいものとされています。
自筆証書遺言が、自分で書くだけで成立する遺言であるとはいえ、こうした厳格な要式性に鑑みれば、弁護士等の専門家のアドバイスを受けながら作成するか、あるいは、次回以降にご説明する公正証書遺言を作成するほうが無難といえるでしょう。
なお、遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることはできないことにも、注意が必要です(民法975条)。
2006年12月12日 | 遺言 |
トラックバック URL :
またしても、すっかりご無沙汰をしてしまいましたが、遺言の方式について、ご説明したいと思います。
遺言は、遺言者であるご当人がお亡くなりになった後にその存在や内容等が問題となるケースがほとんどであると思われますが、そのときには、もう既にご当人はお亡くなりになっており、遺言の内容の真否等につき確認をすることができません。
そこで、民法は、遺言の方式について厳格な要式行為としており、民法の規定に反する方式による遺言は、その効力が否定されます。
遺言の方式には、普通方式と特別方式がありますが、一般に重要なのは普通方式です。普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。
公正証書以外の遺言については、家庭裁判所で検認の手続を経る必要があります。後に遺言の内容が改ざんされるのを防止するためです。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することはできません。
上記に違反した場合には、5万円以下の過料に処せられることもありますので、注意が必要でしょう。
次回は、自筆証書遺言の注意点等について、ご説明したいと思います。
2006年10月6日 | 遺言 |
トラックバック URL :
今日の都内は本当に蒸し暑いです。
さて、本日からしばらくの間、「遺言」の問題を考えてみたいと思います。ある程度の財産をお持ちの方は、自身がなくなったときに、いかにして円滑に相続人であるご家族の方々に財産を承継させるか、非常に関心が高いと思います。
相続においては、誰に何をどうやって承継させるのか(承継させることができるのか、あるいはさせないことができるのか)という問題と、いかに資産を減らさずにそのまま承継させるかという問題があるように思います。前者の問題が主として法律上の問題で、後者の問題が主として税務上の問題でしょう。
前者の問題において重要な働きをするのが、「遺言」です。相続に関し、民法には数多くの規定がありますが、その法律による相続の原則を修正し、被相続人の意思を尊重するのが遺言制度です。
遺言は、遺言をした者(被相続人)ご当人が亡くなった後にその効力が問題となりますから、民法は、遺言が有効となる要件について、厳格な要件を規定し、遺言を要式行為としています。つまり、遺言は、民法に定める様式に従い作成しなければ、効力を生じないことになっています。
従いまして、遺言を作成する場合には、民法の定める様式・要件を充たすよう、慎重に作成することが必要であり、できる限り、専門家の助けを得ることが望ましいといえます。
次回は、遺言の方式について、ご説明したいと思います。
2006年8月17日 | 遺言 |
トラックバック URL :