本日は、遺言の執行に関する話題です。
遺言の方式としては、自筆証書遺言、公正証書遺言その他があるということは、既に当ブログでもご紹介したところですが、せっかく遺言を作成したとしても、自らの死後、その遺言の通りに実行されなければ意味がありません。
そこで、民法1006条1項は、遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができると規定しています。
例えば、相続人の一人が不動産を公正証書遺言により取得した場合、当該相続人は、公正証書遺言に基づき単独で相続登記をすることができますので、遺言執行者の必要性は少ないのですが、公正証書遺言のなかに、第三者に対する遺贈を含んでいる場合等には、その執行のために遺言執行者を選任しておくことが望ましいといえます。
また、遺留分は侵害しないとしても、特定の相続人に対し相続財産の大半を取得させる場合等にも、遺言執行者を選任しておき、遺言執行者がその職務として相続手続を完了させれば、当該公正証書遺言に基づく相続に不満を持つ他の相続人と、当該相続人との間の直接衝突をある程度回避できることもあります。
このように、遺言内容の円滑な実現のために、遺言執行者を予め指定しておくことは重要なことといえます。
弁護士が遺言執行者になる場合には、通常、遺言者から、公正証書遺言作成についての依頼を受け、同弁護士がそのまま遺言執行者になることが多いと思われます。当該弁護士は、遺言の作成の当初から関与していますので、遺言者の意思をもっともよく知る人物であり、遺言執行を依頼するにはもっとも最適であると思われます。
遺言者の死後に相続人間の紛争が予想される場合に限らず、遺言者の意思を確実に執行してくれる者として遺言執行者を予め指定しておくことは、大変重要なことと思われます。
2007年10月23日 | 遺言 |
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先日、公正証書遺言を作成するに際し、併せて、尊厳死宣言公正証書を作成しました。
公正証書遺言を作成するに際し、遺言者から、ご自身が不治の病により生存の可能性がなく、かつ、意識のない重篤な状況に陥った場合には、延命治療を行わないよう、公正証書遺言に付記して欲しい旨のご依頼をいただきました。
しかし、遺言は、作成時に成立はしますが、その効力は遺言者の死亡によって生じるため、延命治療の拒否に関する条項を遺言書に記載するのは適当ではありません。
そこで、公証実務においては、尊厳死宣言公正証書として、遺言書とは別に作成することを薦めているようです。
延命治療を行わないことの是非につきましては様々な議論がなされているところですが、公正証書において、自己の意思を予め表明しておくことは、看護にあたっているご家族や、治療にあたっている医師のためにも、大切なことと思われます。
遺言書を作成するに際しましては、尊厳死宣言公正証書の作成も、併せてご検討されてはいかがでしょうか。
2007年5月30日 | 遺言 |
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新年明けましておめでとうございます。今年も、マイペースでブログを更新して参りますので、よろしくお願いいたします。
さて、今回は、公正証書遺言について説明したいと思います。
公正証書遺言とは、文字通り、公正証書によって作成される遺言です。公正証書の方式による遺言ついては、民法969条により、厳格な方式が定められています。すなわち、公正証書遺言が有効に成立するためには、
�証人2人以上の立会いがあること
�遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
�公証人が、遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
�遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと(但し、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して署名に代えることができる)、
�公証人が、その証書は�〜�の方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと
以上のような、厳格な方式を満たす必要があります。
もっとも、こうした「口授」や「読み聞かせ」を徹底してしまうと、障害のために口の聞けない方や耳の聞こえない方が、公正証書により遺言を作成する機会を奪われてしまいます。そこで、民法は、こうした方々のために特則を設けています(民法969条の2)。
公正証書は、裁判官経験者等から任命された公務員である公証人が作成しますから、一般に高い信用性が認められています。自筆証書のように、紛失、偽造・変造の心配もありません。裁判所における遺言の検認も不要とされています。自筆証書遺言と比べて手続きが煩雑であり、費用もかかりますが、後々のトラブルを防止するためには、公正証書遺言を作成しておくことが望ましいといえます。
もっとも、公正証書遺言といえども、上記�〜�の方式に違反して作成されてしまったり、認知症等により遺言能力がないのにこれが見逃されて作成されたことにより、後日、その効力が否定されるケースが少なからずあります。
先日の日経新聞(平成19年1月15日号21面)でも特集されていましたが、法務省による公証役場の立ち入り調査では、遺言公正証書において本人の実印と印鑑証明が異なるなど無効となりかねない公証人の重大なミスもあったようです。
また、遺言を作成する人は一般に高齢者が多いですから、遺言作成当時、認知症であり、遺言能力がなかったのではないか、また、口授ができなかったのではないかと疑義を生じさせるケースも少なからずあり、裁判で争われて無効とされることもあります。
遺言が作成された経緯、遺言の内容等に何か不自然な点がある場合には、その遺言を鵜呑みにせず、弁護士等に相談することが望ましいと思われます。
2007年1月20日 | 遺言 |
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