平成18年5月1日から施行された会社法において、様々な種類の株式の発行が認められるようになり、新たに整備された会社法上の諸制度を事業承継問題に生かすことができないかが各方面で議論されており、拒否権付種類株式は、その一つです。
拒否権付種類株式とは、特定の事項について株主総会決議の他にその種類株式を保有する株主の承認決議を要する株式をいいます。その権限の大きさから、黄金株とも言われます。たとえば、会社経営を決するような重要事項(取締役の選解任、事業譲渡等)についての拒否権付種類株式の発行が考えられます。
事業承継の場面においては、たとえば、現経営者が新経営者に対し、生前に株式の移転を行うに際し、予め拒否権付種類株式を発行しておき、新経営者には普通株式を移転しながら、拒否権付種類株式を現(旧)経営者が保有しておくことにすれば、事業承継を実現しながらも、新経営者による経営に対し睨みをきかせることが可能になります。
こうした手法は、生前における経営権の移譲に抵抗のある現経営者には、一定の評価を得られる手法であると思われます。
最終的には、現(旧)経営者は、新経営者による経営が安定したときに拒否権付種類株式を譲渡するか、又は、遺言により拒否権付種類株式を新経営者に相続させ若しくは遺贈すればよいと考えます。
2007年11月8日 | 事業承継 |
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中小企業の事業承継を円滑に行うためには、後継者に株式を集中させることが必要ですが、現時点において、株式が現経営者以外の人に分散している場合も少なからずあります。
この場合に、分散した株式を放置しておくと、現時点においては何らの問題がなかったとしても、株主に相続が発生することにより株式がさらに分散し、会社経営上好ましくない者が経営に口出ししてくる場合もありえます。
そこで、なるべく早期の段階において、株式を現経営者又は後継者に集中させておくことが大切です。
その方法としては、分散した株式の買取りが一番簡易な方法と思われます。その際の買主は、現経営者、後継者が考えられますが、特に後継者に資金がない場合には、とりあえず、会社が買主になることも考えられます(いわゆる金庫株)。
しかし、相手の株主が任意に買い取りに応じてくれない場合には、他の手段を検討する必要があります。
そこで、定款に株式譲渡制限条項を設置し、株式が会社経営上好ましくない者に譲渡されることを防止したり、また、併せて定款に相続人に対する売渡請求条項を設置し、株主に相続が発生した場合に、会社が相続人に対し株式を売り渡すよう請求できるようにしておくことも考えられます。
旧商法では、発起人が数名必要だった時代もあり、この当時に設立された株式会社においては、会社経営に全く関与していない当時の発起人がそのまま名義上株式を持ち続けているケースもあり、こうした当時の発起人(現時点の株主)に相続が発生すると、資本政策は極めて困難な問題を抱えることになりかねません。
できる限り早期に資本政策を検討し、株式の集中を行うことが必要と思われます。
2007年10月30日 | 事業承継 |
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以前のブログにて、事業承継の方法として、遺言により事業承継者たる相続人に自社株式を相続させる方法を記載しました。
事業承継者たる相続人に自社株式の全部を相続させた場合、他の相続人には、当然その他の財産を相続させることになりますが、自社株式以外にめぼしい資産がない場合には、円滑な事業承継を実現するためには工夫が必要となります。相続人間の公平を害するような遺言を書いてしまうと、その遺言が遺留分を侵害しない場合であっても、親族間のトラブルを誘発することが目に見えているからです。
自社株式以外にめぼしい資産がない場合であっても、会社が相応の預貯金・不動産等の資産を蓄えている場合には、それらを他の相続人に与えることにより、相続人間の公平を図ることも可能です。
ただし、会社の財産を、会社外に切り離して相続人に与えるためには少々工夫が必要となります。
たとえば、一つの方法として、社長であった被相続人の退職金請求権を、他の相続人に相続させる方法があります。また、いわゆる金庫株制度(自己株式の買入れ)を用い、事業承継者である相続人が会社に自己株式を買い取ってもらい、その代価をもって、他の相続人に代償金を支払う方法です。いずれの方法においても、会社に相応の現金・預金があることが前提となります。
さらに、事業会社と資産管理会社に分社化し、会社の事業にとって不可欠でない資産を資産管理会社に切り離し、事業会社の株式を事業承継人たる相続人に、資産管理会社の株式を他の相続人に相続させる方法も考えられます。
このように、事業承継には様々な方法が考えられ、当該会社の事業実態、社長たる被相続人の財産状況等に鑑み、それにふさわしい方法を採用することが望ましいといえます。
2007年10月25日 | 事業承継 |
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