不動産開発問題,賃貸ビル管理問題、土壌汚染問題、建築瑕疵問題をはじめとする建設・不動産案件、事業承継問題やM&A等をはじめとする各種会社法案件、破産・民事再生等をはじめとする倒産案件を主たる業務としながら、幅広い法分野の相談案件、紛争案件に対し積極的に取り組み、ビジネスのお手伝いをさせていただいております。当ブログでは、建設・不動産・倒産等を中心に、私が弁護士として日頃取り扱い、調査・研究してきた諸問題について、その成果を公表し、皆様の問題解決へのお手伝いをさせていただきたいと思っています。

管理費滞納によるマンションの競売

 区分所有者がマンション管理費を滞納した場合、管理組合は、滞納管理費の請求訴訟を提起し、勝訴判決を得て、当該区分所有者のマンションを強制競売することができます。
 しかし、管理費を滞納しているケースでは、区分所有権に金融機関の抵当権が設定され、また、税金を滞納している場合も多くあります。
 そうした場合に、強制競売を申し立てても、管理組合には配当見込みがないため、強制競売手続は、無剰余取消(民事執行法63条2項)されてしまいます。特に、バブル期に販売されたリゾートマンション等は、現時点での価格が低迷してしまい、競売がうまく進まないケースが多くあるようです。

 競売手続が進まないと、管理費の滞納が益々増え、また、修繕積立金も滞納されると、マンションの修繕もうまく進まないこともあり、管理組合にとっては重大な問題となります。
 そこで、管理費の滞納が、区分所有法6条1項にいう共同利益背反行為に当たり、それによって、マンションの区分所有者の共同生活上の障害が著しくなっており、他の方法では区分所有者の共同生活上の障害を除去して区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるとして、区分所有法59条による競売が認められることがあります。具体的な例として、東京地裁平成19年11月14日判決(判例タイムズ1288号286頁)、東京地裁平成17年5月13日判決(判例タイムズ1218号311頁)があります。

 区分所有法59条による競売は、区分所有権の剥奪を目的とし、配当を全く予定していないため、無剰余取消を定める民事執行法63条は適用されないとする裁判例(東京高裁平成16年5月20日・判例タイムズ1210号170頁)があります。
 また、この競売によって、区分所有権上に存する抵当権が消滅するかについては争いのあるところですが、上記裁判例(東京高裁平成16年5月20日・判例タイムズ1210号170頁)は、消除主義(民事執行法59条1項)を採用し、抵当権は消滅するという立場を採用しました。

 管理費滞納は、管理組合にとって重大な問題であり、区分所有法59条による競売は、その問題解決にとって有効な手段となりえます。

 

講演のお知らせ

ファンドソリューション主催の下記のセミナーを開催します。ぜひご来場ください。

■《緊急事態対応セミナー》
 「テナント破綻への現実的対応策・徹底研究」

【日時・会場】
 平成21年4月23日(木) 主婦会館・プラザエフ(JR四ッ谷駅前)
【概要】
 今、企業破綻が急増しています。賃借人企業が破綻に至れば、従前どおり賃貸ビルにテナントとして入居し続けることは困難となります。サブリース会社破綻の場合も多方面に影響を及ぼします。
 そういう事態になれば、 迅速な対応を執る必要があることは言うまでもありません。サブリース会社破綻の場合においても多くの問題が発生します。これらのケースそれぞれについて対応策を考えておく必要があります。むろん法的な根拠が必要なことは言うまでもありません。
 そこで本セミナーでは、「テナント破綻」のケースを徹底分析し、ビルオーナー、PM会社が直面する現実的問題点と対応策、法的注意点について、定期借家の事例やサブリースの事例をも踏まえつつ、具体的にわかりやすく解説します。

DIP型会社更生手続

 最近、日本綜合地所がDIP型の会社更生手続を選択したということで話題となっています。

 会社更生手続においては、更生管財人が裁判所により選任され、この更生管財人が会社の財産について管理処分権限を持つところに一つの特色がありました。そして、更生管財人は、通常、裁判所が倒産手続に熟練した弁護士を選任していました。
 ところが、東京地裁民事第8部は、NBL895号(2008年12月15日号)において、DIP型会社更生手続の運用の導入についての論文を発表し、それ以来、DIP型の会社更生手続が開始される例が見受けられるようになりました。これにより、更生会社の元社長などが、そのまま更生会社の管財人に就任することになったのです。
 法的には、既に平成15年4月1日施行の会社更生法において、経営責任のない経営者、管財人、保全管理人等に選任することができることが明文化されていました(会社更生法67条3項、70条1項但書等)。

 会社更生手続は、担保権についても更生計画の定めるところによって権利が制限されることになるため、担保権が別除権となり手続外で行使が可能な破産手続や民事再生手続よりも、いわば強力な倒産手続きであり、倒産会社にとって有利な面が多かったところがありました。
 ところが、会社更生手続では、上記のとおり、管財人には原則として弁護士が選任され、旧経営陣は、その経営権をはく奪されてしまうため、会社更生手続のメリットにも関わらずその申請が敬遠され、民事再生手続を選択する例の方が多かったという実情がありました。現に、平成19年に東京地裁が受理した会社更生手続事件8件のうち、7件が債権者申立ての事件であり、会社自らが申し立てた事件はわずか1件だったそうです。

 そこで、裁判所は、上記のとおり、DIP型の会社更生手続の運用開始したのですが、これにより、より使いやすい制度へと改革されることが期待されています。